ファンシーラットの皮膚腫瘍について

ファンシーラットをペットとして飼育する方が増えていますが、ファンシーラットも他の動物と同じように様々な病気にかかることがあります。その中でも、皮膚腫瘍は比較的よく見られる疾患の1つです。
今回は、ファンシーラットの皮膚腫瘍について詳しく解説し、当院で実際に手術を行った症例をご紹介します。
ファンシーラットを飼われている方は、ぜひ最後までお読みいただき、健康管理の参考にしてください。

ファンシーラットの皮膚腫瘍について

ファンシーラットは、皮膚腫瘍が発生しやすい傾向があります。特に加齢とともにその発生率は高くなります。
腫瘍は良性のものが多いですが、中には悪性のものもあります。
治療が遅れると腫瘍が大きくなってしまうので、早期発見・早期治療が重要です。

皮膚腫瘍の症状

ファンシーラットの皮膚腫瘍は、以下のような症状として現れることが多いです。

  1. 皮膚のしこりや腫れ
  2. 脱毛
  3. 皮膚の変色
  4. 出血や痂皮形成

これらの症状に気づいた場合は、すみやかに動物病院に相談してください。

実際の症例

1歳の雄のファンシーラットが皮膚のしこりの相談で当院に来院されました。
今回の症例では飼い主様と相談して、全身麻酔下で皮膚腫瘍を摘出する手術を行いました。

上の写真が手術前の症例の写真です。
皮膚にしこりができていることが分かります。

麻酔下で慎重に手術を行い、腫瘍を摘出することができました。
手術後の経過は良好で傷口の治癒も順調に進み、元気に過ごしてくれています。
こちらが抜糸後の症例の写真です。

しこりがなくなり、傷口もしっかり治ってくれています。

まとめ

ファンシーラットの皮膚腫瘍は早期発見・早期治療が重要です。発見が遅れると、腫瘍が巨大化し手術が困難になるケースがあります。
今回の症例では飼い主様がすみやかに来院してくださり、全身麻酔下で腫瘍の摘出を実施しました。
「ファンシーラットのような小さい体でも麻酔をかけられるの?」
このような不安をお持ちの方もいると思いますが、実は、ファンシーラットにも麻酔をかけることが可能です。
しかし、犬や猫に比べると体も小さく、麻酔のリスクは高くなるので、麻酔深度や生体モニターを確認しながら適切な麻酔薬の調節が必要になります。
当院では、ファンシーラットを含む小動物の診療に豊富な経験を持つ獣医師が、小動物の専門的な治療を行っています。今回は皮膚腫瘍の症例をご紹介しましたが、その他の症状に関するお悩みがある場合でも、お気軽にご相談ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。