犬の子宮蓄膿症について

子宮蓄膿症とは、子宮に細菌が入ることで感染を起こし、子宮の中に大量の膿が溜まってしまう疾患です。
中年齢以降の避妊手術を行なっていない犬で発症することが多く、発症には発情出血開始1~2ヶ月後に分泌されるプロジェステロンと呼ばれるホルモンが関与しています。

診断は血液検査や画像検査によって行い、治療はほとんどが手術による子宮卵巣の摘出になります。
緊急性が非常に高い疾患であり、治療が遅れると致命的になってしまうこともあります。

今回は手術により治療した子宮蓄膿症のわんちゃんの症例です。

犬の子宮蓄膿症の症例

症例は8歳3ヶ月の犬で、3日前から食欲廃絶・嘔吐下痢を主訴に来院しました。
来院時に子宮蓄膿症が疑われたため、すぐに検査を行いました。
検査の結果、子宮蓄膿症と診断したため、その日のうちに手術を行いました。

子宮は重度に拡張し、中に膿が大量に溜まっていました。

重度に拡張した子宮

手術後、数日で食欲も改善し、退院後元気になってくれました。

子宮蓄膿症は犬のメジャーな緊急疾患です。経過が長いと致命的になってしまう恐ろしい病気です。
避妊手術していないわんちゃんで、調子が悪くなったらすぐに病院に来院してあげてください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。