犬の鼻腔内異物について
鼻腔内異物とは、異物が鼻の中に入ることで鼻が詰まってしまい、呼吸に障害をきたしてしまう疾患です。
異物に気づかず長期に渡り異物が鼻腔内に存在すると、周囲に肉芽組織が形成され、さらに病態の悪化に繋がることもあります。
また、重度の呼吸困難を呈することで、肺に陰圧がかかり、二次性に陰圧性肺水腫を発症し致命的になることもあります。
症状は、急性のくしゃみ・逆くしゃみ・鼻汁・顔を振るなどが一般的です。
今回は鼻腔内異物を摘出した症例になります。
犬の鼻腔内異物の症例
症例は8歳3ヶ月のチワワさんで、昨晩から急に鼻が詰まり夜も眠れないくらいの呼吸困難を呈しているとのことで来院しました。
各種検査と問診により鼻咽頭における鼻腔内異物が疑われたため、すぐに内視鏡下で鼻腔内異物の確認を行いました。
内視鏡にて鼻咽頭を観察したところ、両方の鼻の道を塞ぐように異物が鼻に詰まっていました。
すぐにこの異物を摘出し、鼻道の開通を確認し、鼻腔洗浄を実施後麻酔を終了としました。
覚醒後、異物の影響で多少炎症は残るため鼻炎症状はありましたが、呼吸は劇的に改善しました。
鼻腔内異物は特徴的な臨床所見はあるにも関わらず、診断・治療が難しい場合もあります。
もし、飼っているワンちゃんの呼吸が急に苦しそうになった場合はすぐに動物病院にご相談ください。
執筆担当:院長 渦巻浩輔