モルモットの胸腺腫について
近年モルモットをペットとして飼育している方が増えていますが、モルモットも様々な病気にかかることがあります。
今回はモルモットの胸腺腫について実際の症例を交えてご紹介します。
モルモットを飼っている方は、ぜひ最後まで記事をお読みいただきどのような場合に病院へ行けばいいのか参考にしてください。
モルモットの胸腺腫とは
胸腺腫は、胸腺と呼ばれる免疫に関係する臓器にできる腫瘍のことです。
人や犬猫では胸腺は胸の真ん中にあります。
モルモットの胸腺は首にあるため他の動物とは位置が違います。
胸腺の腫瘍には、体の他の部分に転移する悪性腫瘍と、腫瘍自体が大きくなるだけの良性腫瘍の2種類があります。
胸腺腫は良性の腫瘍であると言われていますが、まれに悪性腫瘍のように転移することがある腫瘍です。
モルモットの胸腺腫は非常に珍しい病気で、転移する可能性があるかなど詳しいことはわかっていません。
モルモットの胸腺腫はどんな症状がでるの?
胸腺腫の初期段階では、目立った症状が出にくいことが多いです。
モルモットの胸腺腫では腫瘍が大きくなってくると
- 首のあたりになにかできている
- 呼吸が苦しそう
- 食欲不振
- 体重減少
などの症状がみられることがあります。
モルモットの胸腺は首にあるため、腫瘍が大きくなると気管を圧迫して呼吸困難になってしまう可能性があります。
胸腺腫は外から触るとわかりやすい腫瘍です。
普段からモルモットの体を触ってできものがないか確認しておきましょう。
モルモットの胸腺腫はどうやって治療するの?
モルモットの胸腺腫は、あまり詳しいことが分かっていません。
転移する腫瘍なのか、効果的な抗がん剤があるのかなどの情報が少ないのが現状です。
麻酔をかけて外科手術で腫瘍を摘出してしまうことが一番の治療法になります。
腫瘍があまりに大きくなってしまうと外科手術でとりきれなくなる可能性があります。
早期発見し、早期の手術が必要です。
しかしモルモットの手術は犬猫に比べて実施している動物病院が多くありません。
当院では実際にモルモットの胸腺腫の手術を行っています。
モルモットの首にできものができている場合は当院へご相談ください。
実際の症例
3歳3ヶ月のモルモットが首にできものが出来ていて食欲が落ちているとのことで来院しました。
診察の結果、X線検査で首に腫瘍が確認され胸腺腫の可能性があると判断。
飼い主様とご相談の上、外科的手術による腫瘍の摘出を行うことになりました。
実際の手術前の写真です。

術後の経過は良好で、腫瘍も完全に摘出することができました。
こちらが手術後の写真です。

抜糸時には傷もきれいに治り、腫瘍の再発も現在のところ見られていません。
まとめ
モルモットの胸腺腫は、放置すると腫瘍が大きくなり、呼吸困難などの命に関わる症状が現れることがあります。
モルモットの胸腺腫については詳しいことがわかっていないため、治療には外科的手術が最も有効です。
早期に発見し手術することが一番の治療方法です。
普段からモルモットとコミュニケーションをとって体の異変に素早く気づくことが大事ですね。
当院では、モルモットを含む小動物の手術経験が豊富な獣医師が診療を行っています。
胸腺腫だけでなく、モルモットの体調や行動に気になることがあれば、ぜひ当院にご相談ください。
執筆担当:院長 渦巻浩輔