犬の糖尿病による皮膚症状について

高齢の犬でよく見られる糖尿病で、皮膚の異常が出ることがあるのをご存知ですか?
糖尿病自体は有名な病気ですが、犬ではどんな症状が出るか詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
糖尿病の犬では、「水を飲む量が増えて、尿が薄くなる」「食事は充分食べているのに体重がどんどん減っていく」などの症状以外に、皮膚の異常が出ることもあります。
糖尿病について、当院で治療した症例を踏まえてご説明します。
糖尿病について詳しく知ることで犬の異常を見逃さないようにしましょう。

糖尿病ってどんな病気?

糖尿病は人間でも馴染みのある病気ですよね。
三大成人病のうちの一つで、健康診断で指導を受けたことがある方も多いのではないでしょうか?
糖尿病は人間だけの病気ではなく犬でも発生します。
糖尿病はインスリンという血糖値を下げるホルモンの働きが低下する病気です。
インスリンの働きが低下すると常に血糖値が高い状態が続くため、尿中に糖が排出されるようになり、たくさんの尿が作られるようになります。
その結果のどが渇いてしまい、多飲多尿という症状が現れてしまうことが多いです。

多飲多尿という症状が有名ですが、実はそれ以外にも様々な症状が現れることがあります。

糖尿病で見られる皮膚の症状

発生頻度は多くありませんが、モルモットの精巣で代表的な病気は腫瘍です。
精巣腫瘍になると片方の精巣がとても大きくなり、もう片方の精巣は小さくなっていきます。
モルモットの精巣腫瘍についてはまだ研究が進んでおらず、どの薬が有効なのか、どれくらい生きられるのかなどははっきりしていません。そのため現在、精巣腫瘍になってしまった場合は、去勢手術が推奨されます。
一般的に腫瘍は高齢になってから発症するため、麻酔リスクやストレスによる影響を強く受けます。

糖尿病の治療について

糖尿病の治療の主役となるのは、インスリンによる治療です。インスリンには様々な種類があります。動物の状態によってインスリンの種類や使い方を変えることが重要ということですね。
インスリンをただ打っていればいいのかと言われるとそういうわけではありません。
インスリンには低血糖になってしまうというリスクがあります。低血糖は命に関わることもある非常に恐ろしい状態です。
糖尿病と診断されたら、血糖値をこまめに測定し1日の変動を観察し、低血糖を予防することも重要ですね。

実際の症例

糖尿病の治療を行って皮膚症状が良くなった症例をご紹介します。
今回ご紹介する症例は、11歳のトイプードルで、来院時は顔や四肢の先が脱毛していました。

各種検査から糖尿病と診断され、インスリンによる治療を開始しました。インスリンの量は皮膚に直接装着する血糖値を調べる機械を設置することで決まりました。
インスリン治療を開始すると徐々に毛が生えていき、みるみると毛質が改善されていきました。
糖尿病の治療をすることで外見の変化も見られ、飼い主様もとても喜んでいました。

まとめ

糖尿病の症状で、皮膚の異常が出るのは珍しくはありません。
皮膚の異常では、なかなかイメージがつきづらいですが、実は糖尿病のように恐ろしい病気が発覚することもあるのです。
一見皮膚症状に関係なさそうなことでも、家での様子をしっかり観察して飲水量や尿量などを記録したり、血液検査や尿検査を定期的に行うことが、犬の健康管理にとても重要だということを感じていただけたら幸いです。
「なんだか皮膚の様子が変わってきたな」と感じたら、ぜひ一度当院にご相談ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。