ハムスターの蟯虫感染について

ハムスターは寄生虫感染を起こしていることが多々あります。
その中でも特に多いのが蟯虫(ぎょうちゅう)の感染で、ネズミ盲腸蟯虫とネズミ大腸蟯虫に分類されます。
どちらもさほど病原性は高くなく、基本的には無症状なのですが、中には栄養不良によって発育が悪くなったり、腸炎を引き起こすことがあります。
この寄生虫は親やファームにいる他のハムスターから感染します。
そのため、ハムスターを飼い始めた時には健康診断で糞便検査を行うことが大事です。
今回ご紹介する症例は、健康診断で来院されたハムスターさんでネズミ大腸蟯虫が検出された症例です。

ハムスターの健康診断でネズミ大腸蟯虫を検出した症例

症例は健康診断を希望され来院された6ヶ月のハムスターです。
元気や食欲は問題なく、糞便に関しても特に大きな異常はありませんでした。
糞便を顕微鏡で観察したところ写真のような寄生虫の卵が観察されました。

顕微鏡写真

この症例は駆虫薬を飲み、数日後の検査で完全に駆虫されたことが確認されました。

ハムスターの蟯虫感染はきちんと健康診断をしないと見つかりません。
病原性は低いとはいえ、中には重症例も存在し、死に至ってしまったという報告もあります。
ハムスターさんを飼い始めた際には、一度でも良いので、健康診断を行いに動物病院にお越しください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。