犬の中足骨骨折について

中足骨とは足の指の骨になります。
何かしら重いものが足に落ちたり、扉に挟んでしまったりすることで骨折してしまう場合が多いです。
その場合、指の骨の骨折は複数本一気に折れてしまうことも多いです。

診断はレントゲン検査によって行われ、治療は骨折の本数が多い場合は基本的に手術が適応となることが多く、ギプスや包帯による治療も選択肢として挙がる事もあります。

今回は中足骨を骨折してしまったワンちゃんになります。

トイプードルの中足骨骨折の症例

症例は3ヶ月のトイプードルで、ガラス瓶が足の上に落ちてしまい、びっこをひいているとのことで来院しました。

レントゲンを撮影したところ、左後肢の中足骨において指3本の骨折が認めたれました。
本症例は体重が1.4kgと体格も非常に小さく、骨の太さも1.6mmと非常に細い骨でしたが、折れている本数が多いことも鑑み、手術による整復を行いました。

赤丸:3本の指が骨折していた。

骨折の手術方法には、プレートとピンによる方法があります。
本症例の骨折している骨は非常に細く、適応できるプレートが存在しないためピンによる治療が選択されました。

ピンによる整復を実施した。

その後、1ヶ月程度で骨がくっついた後にピンも抜き、元気になってくれました。

骨折はなるべく早く治療してあげることがより良い予後に関わります。また、何より本人の負担を減らすことができます。
当院では整形外科手術は専門の先生を招致し、対応しております。

ワンちゃんの歩き方がおかしい、痛そうなどあれば、すぐに病院に診察に来てください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。