犬の歯周病について

犬において歯周病は、2歳以上の80%の犬で何らかの歯周病の徴候を認めるといわれています。
歯周病の発生は、歯垢(プラーク)中の歯周病細菌が原因となり、この歯垢を定期的な歯磨きによってつかない様にすることが大変重要になります。
歯周病が悪化すると歯を支持する骨が融けていき、さらに進行すると顎骨骨折を招いたり、歯周病細菌が全身に周り、腎臓や心臓、肝臓などに影響を及ぼす恐れも出てきてしまいます。
歯周病の治療は進行の程度により様々ですが、主に全身麻酔下でスケーリング・ルートプレーニング・ポリッシング・キュレッタージ・抜歯などにより対応していきます。

歯周病の犬の症例

症例は10歳6ヶ月のワンちゃんで、歯の処置を希望で来院されました。
歯には歯石が蓄積しており、歯肉炎も認められました。

歯科処置前

全身麻酔下で歯周ポケットの深さなども計測し歯の処置を行いました。
幸いなことに、抜歯が必要そうな歯はなかったため、スケーリング(歯石の除去)、必要な部位へのルートプレーニング・キュレッタージ(歯周ポケットの処置)、ポリッシング(歯垢・歯石が再付着しにくい様に歯の表面を研磨)を行い終了としました。

歯科処置後

犬は歯周病の罹患率が非常に高く、毎日の歯磨き(ホームデンタルケア)が非常に重要になります。

家のワンちゃんの歯が気になるなどあれば、歯磨き相談などでも構わないので、お気軽に病院にご来院ください。

執筆担当:院長 渦巻浩輔

この記事を書いた人

渦巻浩輔

2013年大学卒業後、埼玉県坂戸市のブン動物病院で4年間の勤務医を務め、犬や猫、エキゾチックアニマルの診療に携わる。2016年からは東京都の小滝橋動物病院グループに勤務し、CTやMRI、心臓外科、脳神経外科を始めとした高度医療施設に身を置き、2019年からは同動物病院グループの市ヶ谷動物医療センターにてセンター長を務める。高度医療に携わりながら地域の中核病院として診療を行なった。2022年11月、東京都板橋区赤塚に成増どうぶつ病院を開院する。日本獣医循環器学会・日本獣医麻酔外科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・日本獣医エキゾチック動物学会所属。特に循環器・呼吸器の診療を専門とし、心臓病についてのセミナー講師も行っている。